切迫流産、流産について

切迫流産・流産について

安定期に入る前の妊娠初期は、切迫流産、流産のことも心配です。万が一の場合、妻をケアできて、一番頼れる人は夫です。あまり考えたくはないかもしれませんが、妊娠初期のリスクを夫も把握しておきましょう。


「切迫流産です」と言われたら

流産の一歩手前である状態を「切迫流産」と言います。切迫流産の診断を受けたら、「自宅安静にしてください」や「入院して安静にしてもらいます」など、医師から指示があるはずです。もし、妻が安静の指示を受けたら、妻自身の仕事の調整が必要になったり、家事を夫が引き受けたりと、妻のケアとサポートが必要になります。夫の仕事の調整も必要になるかもしれません。

また、そうなった場合、妻は、妊娠を継続できるのか不安でいっぱいになると思います。精神面のケアもとても大切です。

また、「自宅安静」と言われて、家の中にいればいいと思う方もいます。しかし、できるだけ横になっている方がいい場合もあれば、簡単な家事を行うくらいなら大丈夫という場合も。医師に「安静」と言われた場合、具体的にどういう状態ですごせばいいのかを確認することが必要です。入浴してもいいかなども確認しましょう。


初期の流産について

妊娠22週より前に妊娠が終わることを「流産」といいます。妊娠したら、無事に臨月を迎え、出産して子育てが始まるということが当たり前、というわけではありません。あまり知られていないのですが、20代でも15%程度が妊娠10週くらいまでの初期に流産します。その流産率は、35歳で20%、40歳で30%以上、42歳では50%に上がります。

妊娠初期に起こった流産の主な原因は、赤ちゃん(受精卵)自体の染色体等の異常であることが多いです。妊婦の仕事などが影響することや、運動を行ったことなどが原因となることはありません。

出血、腹痛などで流産に気づく場合もありますが、気づかないまま健診の時に、おなかの赤ちゃんが亡くなっていることがわかる「稽留(けいりゅう)流産」という場合もあります。


もし、流産してしまったら、どうケアすれば?

一度、体に宿した命を失うことは、肉体的にも精神的にもつらいことです。初期の流産が赤ちゃんの染色体異常で、母親の行動や体には原因がないとはいえ、「あのとき自分がこうしたから?」と自分を責めてしまうことがあるかもしれません。

そんなときは、できるかぎり妻に寄り添ってあげてください。何か言葉をかけられなくても、ただそばにいて、妻の気持ちを聞いてあげることが、悲しみを乗り越えるきっかけになるかもしれません。

「きっと、また赤ちゃんができるよ」の励ましで、元気になれることもあるかもしれませんが、より一層悲しみを増加させてしまうこともあります。気持ちをすぐに切り替えられずに、「亡くなってしまった赤ちゃんは、私にとって唯一無二の存在なのに…」と感じることがあるからです。まず、最初は悲しい気持ちを分かち合うこと、気持ちを言葉で伝えられるまでそばで待っていることが大切です。


(監修: 医師・医学博士・産業医 /「広尾レディース」院長 宗田 聡 先生)