産後クライシスを避けるために

産後クライシスを避けるために

「産後クライシス」という言葉を知っていますか?

産後に夫婦関係が変わってしまい、「産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況」をいいます。

今や、ニュースなどで耳にするようになった言葉ですが、その言葉がないときから、同じように産後に問題を抱える夫婦はいました。近年の産後ケアの重要性に対する認知とともに「産後クライシス」という言葉も注目を浴びるようになったのではないでしょうか。

劇的な心身の変化を迎える産前産後の女性、その女性の変化を理解していない夫の間で、関係が変化するのは当然といえば当然。母子世帯の中で産後2年以内に離婚したのは35%という数字(厚生労働省・全国母子世帯等調査)も、いかに産後の夫婦の関係性が危ういかを示しています。

夫婦関係の変化が「産後クライシス」とならないように、できることはなんでしょうか?


産後、夫への愛情は薄まった?

夫への愛情変化について、産後女性に聞いてみました。愛情が深まったという人もいれば、一度薄まった愛情が復活したという人も。それは、夫の対応と行動次第?

<産後はより愛情が深まった>

  • 「夫のことは一対一の人間関係で尊敬していましたが、娘ができたことで、対娘への接し方をそれぞれに知ることができ、より魅力を感じました」Y・Sさん(産後3年4ヶ月)
  • 「育児・家事をはじめ、私のストレス軽減のために、全力で時間を確保してくれていることがよく伝わってきたので、産前以上に深く感謝しています」R・Tさん(産後5ヶ月)

<産前産後と変わらない>

  • 「産前と変わらず対話を重ねているから(変わらない)」N・Yさん(産後5年、1年)

<産後は愛情が薄まったが、その後回復した>

  • 「最初は夫もパパになりたてで、パニックになることもありましたが、だんだんと慣れてきて思いやりをもつ余裕が出てきたため」M・Iさん(産後6年、3年)
  • 「産後は、家に外のバイ菌を持って帰って来る人(!?)のように思ってしまう時期もあったが、自分の精神状態が落ち着いて来るにつれて、実はいろいろと一緒に考えてくれていることに気付けたので」M・Nさん(産後2年8ヶ月)
  • 「イライラして仕方なかったが、その理由〔産後起こりうる体や心の不調〕を知ったことと、いろいろ話せる友人が出来たこと」A・Tさん(産後2年)

<産後は愛情が少し薄まったかも?>

  • 「一対一の関係が、家族の関係になり、愛情が分散されるようになったから。生活スタイルも子供に合わせてるため、時間もすれ違い、二人だけで過ごす時間がなくなった」S・Aさん(産後2年)


産褥期の妻の変化に気づく!

産褥期に気分が落ち込んだか?という質問に約23%が「毎日のように落ち込んだ」、約46%が「毎日ではないが頻繁に落ち込んだ」と答えていました。頻繁に気分が落ち込んでいる状態の産後女性は約7割(NPO法人マドレボニータ調べ)。


この妻の気分の沈みを、夫はどれくらい認知していたでしょうか? とくに里帰りをしてしまっていると、ふだんの妻の様子はわかりません。せめて顔を見せる週末などは、赤ちゃんばかりに気をとられずに、妻の話をじっくり聞いてあげる時間をもつように心がけたいもの。

話を聞かないと妻の変化には気づけません。もちろん、ふだんの行動や表情などから読み取ることもできるかもしれませんが、男性は比較的「微妙な変化を読み取る」ことが苦手な場合が多いもの。気づけないのなら、聞くしかないのです。

産後女性に夫がしてくれてうれしかったことで多く聞かれるのは、「とにかく話を聞いてくれた」ということ。忙しくて育児家事のサポートができないのなら、なおさら妻の話を聞く時間をとりましょう。


(監修: NPO法人マドレボニータ)