里帰りしないなら万全の体制を!

二人だけで乗り切らない!

里帰りをせずにマイタウン出産(詳しくは「マイタウン出産って何?」の記事参照)をすると選択したならば、産後、病院から帰ってきてからの具体的な体制を考えましょう。その「体制」は、どんな間取りにするのか?などの物質的な話だけではありません。

夫婦二人以外の誰に手を借りるのか?、どうやって生活を切り盛りしていくのかを具体的に考えていくということです。

「赤ちゃんのお世話と家事だけでしょ?」と思っていませんか?

しかし、実際は産後直後(産褥期=産後6〜8週間)は、子供を産んだ妻は体を休めることに専念しなくてはいけません。数時間毎の授乳を行うことで精一杯。そのほかのことを夫一人ですべてできるでしょうか??

夫が休業してすべての時間を使ったとしても、かなり厳しい状況に追い込まれます。ましてや夫が仕事をしながら…と考えれば、それは、結局妻が家事をこなし、産後のボロボロの体を酷使するという形になってしまいます。

赤ちゃんのオムツ変えやお世話、日々の掃除や洗濯、料理などは、誰かに担ってもらうことを前提に考えましょう。産後1ヶ月以降も、母親の体が100%回復するわけではないので、誰かの手助けが入るようにしておくことが大切です。


どんな人の手を借りる?

1)実家の家族に来てもらう

里帰りしない場合、妻の親に来てもらうということもできます。数週間泊まりがけになるなら、妊娠中に家の中のどんなところに何があるのか、伝えておきましょう。産後に指示出しするのは想像以上に妻の負担となります。

2)家事サービスを利用する

マイタウン出産で、夫も仕事、家族も来てもらえないというときは、家事サービスにお願いすることも検討を。産後ドゥーラなどの、産褥期の体のことをよく知っている人が産後ケアに来てくれるサービスも。

我が家は使わないかも?と思っても、妊娠中に調べておきましょう。手伝いに来てくれるはずの人が都合悪くなったり、育休を取る予定の夫が病気になったりなど、どんな事態が起こるかわかりません。万が一のために、情報だけでも集めるのをおすすめします。

3)友人・知人の力を借りる

産褥期に家事や育児を手伝ってくれる友人たちに依頼しておきましょう。「出産祝いをもってくる客人」ではなく、沐浴や食事、上の子のケアなど、サポートをしてくれる友人・知人です。そういった友人・知人たちによるサポートを「産褥ヘルプ」といって、おすすめしています。詳しくは「産褥ヘルプってなんだ?」の記事を参考に。


妊娠中に下調べするのは、夫婦で行っても、産後に実際手配をする、お願いをするのは、夫です。くれぐれもサポートの手配などを、ボロボロな体の妻にはさせないように…。


の手を借りる「気持ち」を準備しよう

「誰かの手を借りる」と一言で言っても、実際にはなかなかハードルを高く感じませんか? 今までずっと、「自分の責任で」と言われて育った私たち。人に助けを求めることを「良し」としてこなかった気持ちがどこかにないでしょうか?

その気持ち、いったん、置いておきましょう!

産後は「特別」な時期です。誰かに手伝ってもらわなければ、二人して共倒れ。核家族化になってしまった現代で子育てする私たちは、自分で「助けて」を言えることこそが、「大人のたしなみ」くらいに考えていいのです。

実は親になって一番難しいのは、この「人に頼ること」。でも、あなた自身が誰かから助けを請われれたら、どうしますか? なんの躊躇もなしに助けたり、手伝ってあげるのではないでしょうか? さらには「頼ってくれた」ことにうれしさを感じることもあるのでは?

それを反対に考えれば、気も軽くなりませんか。意外に「助けてほしい」と言われたら、なんのためらいもなく「もちろん、いいよ」と言ってくれる人が多いはず。あなたの周囲の人も見渡してください。


家族や友人を招待してみよう

今、この話を読んで、思い浮かんだ人物、いませんか? その人には、この「ファミリースタート」のメンバーになってもらいましょう。

妊娠中から状況がわかっている人には何かと頼りやすく、産後は「産褥ヘルプ」のメンバーとしてサポートしてくれるようお願いしやすくなります


(監修: 杏林大学 保健学部 准教授 佐々木 裕子 先生)