自律神経を整える骨盤呼吸法

自律神経にまつわるトラブルあれこれ

静養しなければとはいえ、出産直後の生活は赤ちゃんのリズムにふりまわされて不規則になるもの。

昼夜を問わず数時間おきの授乳やおむつ替え…慣れないうちは寝不足になるのを避けられません。さらに育児の緊張やストレスが重なると、自律神経が乱れ、体は疲れて眠りたいのに、神経は興奮状態で眠りにつくことができない、という状態になることも。

夜中に着替えなければいけないほどの寝汗を産後に経験する方もいます。これはホルモンバランスの崩れと同時に、自律神経の調節がうまく行われていないため起こります。ホルモンの分泌を調節している場所と自律神経の中枢は、同じ脳の視床下部にあり、互いに影響を与え合っているのです。


寝汗を解消するには、自律神経が正常に働くような働きかけが必要です。

本来ならばリラックスできるはずのときに、副交感神経が優位にならずリラックスできない、活動をはじめなければならないのに交感神経が優位にならずやる気が出ないなど。自律神経にまつわるトラブルが、産後には実は多いのです。


眠りの質を高めよう

こうした生活を乗りきるには、短時間でも質の高い睡眠をとることが大切。それには、眠る前には副交感神経にスイッチを切り替えてリラックスし、起き抜けには交感神経にスイッチが切り替わるようにして活力を高めるためのセルフケアを習慣にするのがおすすめです。


骨盤呼吸のすすめ

簡単なセルフケアで自律神経の調整を行えます。ここでは「骨盤呼吸」を紹介します。

布団の中で、リラックスして行ないましょう。


01 あお向けに寝てひざを立てる

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床や布団の上であお向けにて寝て、両脚のひざを立てます。片方の手はみぞおちのあたり、もう片方の手は指先が恥骨にふれるよう下腹部に置いてください。肩の力は抜いてリラックスしましょう。


02 息を吸いながら骨盤を恥骨方向へ傾ける

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片方の手はみぞおちのあたり、もう片方の手は指先が恥骨にふれるよう下腹部に置きます。

鼻から息を吸い、おなかをふくらませながら骨盤をゆっくり恥骨の方向に傾けてください。腰が反り、床から浮き上がる動作と連動させて首も反らせ、あごを天井に向けます。

このとき、首の後ろ側も床から浮き上がる格好になります。


03 息を吐きながら骨盤をみぞおち方向へ傾ける

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吸った息を口から「スー」と少しずつ吐きながら、おなかがへこんでいく動きに合わせて、ゆっくり骨盤をみぞおちの方向に傾けていきましょう。腰が床につき、尾骨が浮き上がる動きに連動させて、首も後ろ側を伸ばし、あごを引いた状態にしていきます。


02~03を、骨盤、背ぼね、頭蓋骨の動作が呼吸と連動するように意識しながらくり返しましょう。

就寝前の習慣にすると、寝つきもよく深い眠りが得られます。


 (C) 2016 吉岡 マコ

(監修: 杏林大学 保健学部 准教授 佐々木 裕子 先生)