出産の流れをつかもう

出産は必ずしもマニュアルどおりに進むものではありません。例えば分娩までの時間は人それぞれで、一旦病院に行っても一時帰宅・待機になる場合もあります。

しかし、おおまかな流れを知っていれば不安は減ります

出産の兆候があらわれてから、どのように出産が進むのか把握しておきましょう。夫婦で知っておくことで、急な出来事にも対応できます。

出産の流れはおおよそ次のようになります。

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産院へ連絡

前期破水、陣痛、出血など出産の兆候があったらまず産院に連絡しましょう。

兆候があってもすぐに出産が始まるわけではありません。陣痛の間隔や痛みの程度など、体の状況・状態を把握して、落ち着いて行動しましょう。連絡は妻本人が行うのが一般的です。

陣痛の間隔と破水したときの注意事項

陣痛の場合、1時間に6回以上または10分間隔が連絡の目安となります。破水した場合は、感染防止のため、入浴やシャワーはしないでください。


また、妻・夫のお互いの連絡方法や、それぞれの家族との連絡方法を再確認しておくことが大切です。

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「やること」メニューから「出産の準備をしよう」をタップし「家族間の連絡方法を決めよう」を確認してください。関連記事も合わせてどうぞ!


診察・検査

産院へ行き、診察を受けます。

この際、陣痛が遠のき、しばらく様子を見るように言われることもあります。その場合は一旦帰宅して再び兆候があらわれるまで待機します。

夫へ

出産の兆候があったときは、妻に付き添い、いつ入院になっても良いように準備しておきましょう。

ここもチェック!

「やること」メニューから「出産の準備をしよう」をタップし「入院中に必要なものを揃えよう」「入院時の手続きと移動手段を確認しよう」を確認してください。関連記事も合わせてどうぞ!


入院

出産にかかる時間や進み方は人それぞれです。陣痛の合間はリラックスして過ごしましょう。

夫へ

出産は長丁場です。日ごろ妻がリラックスできることは何か、あらかじめ知っておきましょう。妻の気分がほぐれ、リラックスできる環境を作ってあげてください。


陣痛室

産院の指示に従い、陣痛室へ移動します。

陣痛室がいっぱいで陣痛室に行けない場合もあります。自分がいちばん楽になれる姿勢を取って待ちましょう。出産は長時間にわたります。痛みの合間にはしっかりと栄養をとりましょう。手軽に補給できるように、おにぎりやゼリー飲料を持っていくと良いです。

夫へ

陣痛が始まったら、妻に付き添い、できるだけ妻の痛みが緩和されるようにマッサージしてあげてください。水分補給や栄養補給も大切です。


分娩室

子宮が全開大になったら、分娩室へ移動します。

あらかじめ産院の分娩室を見学し、雰囲気を知っておくと不安が和らぎます。両親学級などを通じて見学の機会があるときは、ぜひ参加しておきましょう。

夫へ

立ち会い出産の場合には、分娩時に一緒に声を出して呼吸をリードしたり、妻がいきむときに手を貸すことがあります。呼吸法などは妻と一緒に学んでおきましょう。

LDRとは

最近では家庭的で落ち着いた雰囲気の中で出産できるよう、分娩第1期(陣痛開始)から分娩第4期(胎盤が出て2時間)までの過程を他の部屋へ移動することなく同じ部屋で過ごすLDR:labor(陣痛),delivery(分娩),recovery(回復)システムを取り入れた施設が多くなっています。その場合、入院から出産まで同じ部屋で過ごすことができ、リラックスできます。


出産

いよいよ出産です。

赤ちゃん誕生後、5分から10分ほどで胎盤がはがれ出ます。胎盤が出たら出産は終わりです。

(出産の兆候があったあとで、どうしても出産が進まない場合、また、何らかのトラブルがあって母子に危険がある場合には緊急帝王切開分娩になります。)

夫へ

5人に1~2人が帝王切開分娩というデータもあり、帝王切開分娩自体はあまり珍しいことではありません。自然分娩であっても帝王切開分娩であっても母子共に無事に出産できることが何より大切。

しかし、自然分娩ではなかったことでご自身を責めてしまう方もいます。また、帝王切開の場合、術後の痛みによって自然分娩よりもさらに産後の体の負担が大きくなります。しっかり助けてあげられるよう、パートナーの心構えと準備が大切です。


退院まで

基本的には出産当日から赤ちゃんのお世話が始まります。授乳、おむつ替え、沐浴など赤ちゃんのお世話が中心となり、忙しい生活となります。

夫へ

授乳練習や沐浴練習、退院後の生活のアドバイスを受けることができる入院期間は、赤ちゃんのお世話を安心して実践できるチャンスです。

出産によっての体は大きなダメージを受けます。退院後にができるだけゆっくり休めるよう、入院中に赤ちゃんのお世話をマスターしましょう。

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「やること」メニューから「赤ちゃんの準備をしよう」をタップし「赤ちゃんの世話の仕方を知ろう」を確認してください。関連記事も合わせてどうぞ!


ドライテクニックとは

最近、ドライテクニックを取り入れている施設が増えています。これは、出生直後、胎脂を残し赤ちゃんを感染から守る、お風呂に入れて低体温にしないなどの理由から、沐浴をせずに水分を拭き取るだけの方法です。

退院前日(4日目)にはじめて沐浴をする施設もあり、入院中に母親が沐浴をする機会は非常に少ないです。

退院するまでには沐浴指導があり、施設によっては母親や父親に自分の赤ちゃんをお風呂に入れてもらうところもあります。


(監修: 杏林大学 保健学部 准教授 佐々木 裕子 先生)